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Xアルゴリズム全面公開を読み解く|スコアの重み・表示可否の仕組み・クリエイターがやるべきこと

この記事の要点
- スコアは行動の予測確率×重みの合計で決まる
- 「通報◯件分」の倍率解釈は公式が誤りと明記している
- 順位付けと表示可否(Visibility Filtering)は別の仕組み
- 重要なルールやプロンプトの一部はいまも非公開
- 動画は視聴の質が独立した評価軸として予測されている
本記事は、AI動画分析ツール「RoxDirector」を提供するRox株式会社が運営しています。Xが公開したアルゴリズムの実装コードを一次情報として、投稿の見え方がどう決まるかを解説します。数値は公式リポジトリと大手メディアの報道に基づき、確認できない推測は「要検証」と明記します。
結論 — Xのアルゴリズムは「非公開のブラックボックス」から「読めるコード」になった
2026年8月13日、Xは「For You」タイムラインの表示・非表示を決める実装コードをGitHubで公開しました。スコアを合成する重みの数値、投稿を表示するか消すかを判定する仕組み、アカウントにラベルが付く条件まで、コードとして読める状態になっています。TikTokやMeta、YouTubeが公式に出しているのは論文や概要説明にとどまり、動く実装コードを丸ごと公開した主要SNSはXが初めてです[1]。
この記事の対象読者
SNS運用の責任者は投稿戦略の見直しに、個人クリエイターは伸びない原因の切り分けに、制作会社のディレクターはチーム内の説明資料として、それぞれ使える粒度でまとめています。
3分で読める短縮まとめ
- スコアは複数の行動確率(いいね・返信・視聴時間など)を重み付けして合計する仕組みです
- 「通報1件=いいね◯件分」という一部の解釈は、公式リポジトリ自身が誤りだと明記しています
- ランキング(順位付け)と表示可否(Visibility Filtering)は別の仕組みで、混同すると対策を誤ります
- 重要な判定ルールやプロンプトの一部は、悪用防止のため非公開のままです
- 動画は「視聴時間」「視聴の質」が独立した予測対象になっており、再生数だけでは測れません
何が起きたか — 2026年、透明化は3段階で進んだ
今回の公開は突然ではなく、2026年を通じて段階的に進んできました。3段階の流れを理解すると、8月の公開が持つ意味が分かります。
1段階目:ランキング基盤の公開(1月〜5月)
2026年1月、X Engineeringチームが「For You」を組み立てる基盤コード一式をGitHubで公開しました。5月15日には187ファイル・1万8,000行超の更新が入り、推論パイプラインや学習済みモデルが追加されています[2]。この時点では、実際に使われている重みの一部や詳細設定は非公開のままでした。
2段階目:全コード公開の表明(7月)
7月、Xはセキュリティレビューを経てコードベース全体を公開する方針を表明しました。本番環境のコードとGitHub上の公開コードが一致していることを第三者が検証する仕組みも含まれています[3]。
3段階目:スコアの重みと表示可否の仕組みを公開(8月13日)
8月13日、Xはスコアを合成する重みの設定値と、投稿を「表示する/隠す/削除する」を判定する一連の仕組み(Visibility Filtering)のコードを公開しました。あわせて、自分のアカウントに付いたラベルを確認できる「Under the Hood」機能の試験提供も始まっています[4]。
用語整理 — Home Mixer/Thunder/Phoenix/Visibility Filteringの違い
公開コードには複数のコンポーネント名が登場します。役割を混同すると、記事や社内資料の説明が不正確になります。
用語対応表
| 用語 | 役割 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| Home Mixer | 候補を集め、スコアを付け、最終的なフィードを組み立てる指揮役 | 「アルゴリズム全体」と同一視しない |
| Thunder | フォロー中アカウントの投稿をメモリ上に保持し、瞬時に呼び出す仕組み | 「おすすめ」の情報源ではない |
| Phoenix | フォロー外の投稿を検索・予測してスコアを付けるモデル | 「Thunder」の代替ではなく別の情報源 |
| Visibility Filtering | 投稿を表示・非表示・削除のどれにするか判定する仕組み | 「ランキング(順位付け)」と別物 |
| Under the Hood | 自分のアカウントに付いたラベルを確認できる利用者向け機能 | アルゴリズム本体の一部ではなく確認ツール |
ランキングと表示可否は別の仕組み
公開コードは、投稿の「順番」を決める仕組みと、投稿を「表示するかどうか」を決める仕組みを明確に分けています。順位が高くても表示可否の判定でブロックされれば、その投稿は表示されません。逆に、表示は許可されていても順位が低ければ、目に触れる機会自体が少なくなります[5]。
スコアリングの仕組み — 重み×予測確率の合計
公開されたコードによると、最終スコアは「行動ごとの予測確率」に「重み」を掛けて合計する計算式で決まります。
予測される行動の種類
予測対象になっている行動は、いいね・返信・リポスト・引用・共有(DM/リンクコピー)などの「エンゲージメント」、投稿・プロフィール・リンクなどへの「クリック」、動画の視聴時間や視聴の質を含む「アテンション」、フォローという「著者行動」、そして「興味なし」「ミュート」「ブロック」「通報」などの「ネガティブ行動」に分類されています[5]。
スコアのあとに入る3つの補正
スコア計算のあとには3つの補正が入ります。同じ投稿者の作品が連続しないよう減衰させる「著者多様性」、フォロー外の投稿やフォロー中の返信・リポストを一定割合割り引く「フォロー外ディスカウント」、インプレッションが少ない投稿者を目標順位まで引き上げる「新規著者ブースト」です[5]。
「いくつのいいねに相当するか」という誤解を解く
公開直後、「通報1件はいいね数百件分の重み」という解釈がSNS上で広まりました。しかし公式リポジトリ自身が、この解釈を誤りだと明記しています。
重みは「確率」に掛かるもので「件数」には掛からない
重みは、実際に発生した行動の件数ではなく、AIが予測した「行動が起きる確率」に掛かります。したがって「通報の重みはいいねの数百倍」という数値だけを見て、「通報1件でいいね数百件が相殺される」と結論づけるのは誤りだと、公式リポジトリは明確に注意喚起しています[5]。
数値の一人歩きを避けるため、本記事では具体的な倍率の断定は避け、「重みは確率に掛かる」という構造だけを正確な情報として扱います。倍率を含む数値は、必ず一次情報(GitHubリポジトリ)を直接確認してください。
表示される・されないを決める仕組み — Visibility Filtering
投稿ごとに「通常表示」「タップして開く形の警告表示」「非表示」の3種類の判定が行われます[5]。
判定に使われる情報
判定には、閲覧者側のブロック・ミュート設定、投稿者アカウントが凍結・停止・非公開になっていないか、有料会員限定投稿かどうか、閲覧者の国や設定に加えて、投稿・アカウントに付与されたラベルが使われます。ルールの一部は「フォローしていない相手からのおすすめ投稿」にのみ適用され、フォロー済みの相手からは同じ投稿でも通常どおり表示されます[5]。
ラベルはどこから来るか
ラベルは、投稿・画像・動画を分類する仕組み、ブロックや通報の傾向からアカウントを評価する仕組み、フォロー関係と行動履歴からアカウントの信頼度を算出する仕組みなど、複数の分析結果を組み合わせて生成されます[5]。
公開されていないもの — 「読めるコード」の限界
すべてが公開されたわけではありません。Xは、悪用を防ぐ目的で一部のファイルを意図的に非公開にしていると説明しています。
非公開のまま残っている部分
- コンテンツ理解に使われるAIへの具体的な指示文(プロンプトファイル)
- 不正行為対策ルールの一部
この非公開部分を補う位置づけとして提供されているのが「Under the Hood」機能です。自分のアカウント・投稿に付いたラベルの集計を確認でき、コードと突き合わせることで、なぜ表示範囲が制限されているかを推測しやすくなります[5]。ただし試験提供の段階で、対象は「開設から1年以上・直近1カ月に10件以上投稿」のアカウントに限られ、一般提供の時期は明言されていません[6]。
他プラットフォームとの比較 — Xだけが実装コードを公開している
Meta・TikTok・YouTubeはこれまで、アルゴリズムについて論文や高レベルな概要説明を公開してきましたが、実際に動く実装コードそのものをGitHubで公開した主要SNSはXが初めてです[1]。
TikTokについては、公式に確認できる情報はガバナンス(運営体制)に関するものにとどまります。2026年1月に完了した米国合弁事業の枠組みでは、米国データを使う推薦モデルについて「信頼されたセキュリティパートナーによる再学習と監視」が求められ、Oracleの米国データセンターでホスティングされる体制になっています[7]。アルゴリズムの中身そのものは、TikTok・Meta・YouTubeとも公開されていません。
短尺動画クリエイターが変えるべきこと
ここまでの内容を踏まえ、実務でどう動くかを整理します。
「視聴の質」は独立した評価対象として扱う
動画の視聴時間・視聴の質は、いいねやリポストとは別の行動として予測・加算されています。再生数だけを見て動画の出来を判断するのではなく、最後まで見られているか、途中で離脱されていないかを別軸で確認してください。
「フォロー外ディスカウント」を前提に投稿頻度を設計する
フォロー外への配信は一定割合で割り引かれる仕組みが入っています。新規のリーチをフォロー外の拡散だけに依存すると、割引の影響を強く受けます。フォロワーとの継続的なエンゲージメントを並行して設計してください。
通報・ブロックへの対応表現を見直す
ネガティブな行動(通報・ブロック・興味なし)はスコアにマイナスとして働きます。倍率を断定的に語る情報に振り回されるのではなく、通報や興味なしを誘発しやすい表現(誤解を招くサムネイル、扇情的な煽り文句など)を避けることが、遠回りに見えて堅実な対策です。
数値の解釈は必ず一次情報を確認する
SNS上で広まる「◯倍」「◯件分」といった数値は、切り取られて誤解を招く形で拡散しやすい領域です。重要な意思決定をする前に、公式リポジトリの該当箇所を直接確認する習慣をつけてください。
よくある質問
この公開コードを読めば、自分の投稿がなぜ伸びないか分かりますか?
仕組みの全体像は分かりますが、完全な再現はできません。一部のプロンプトファイルやルールが非公開のままで、学習データや評価パイプラインも公開対象外です。仕組みを理解した上で、自分の投稿データと照らし合わせる使い方が現実的です。
「通報1件でいいね◯件分が相殺される」は本当ですか?
公式リポジトリ自身がこの解釈を誤りだと明記しています。重みは行動の「件数」ではなく「予測確率」に掛かるものです。具体的な倍率を主張する情報を見かけた場合は、一次情報を確認してください。
Under the Hood機能は誰でも使えますか?
2026年8月時点では試験提供段階で、開設から1年以上・直近1カ月に10件以上投稿しているアカウントに対象が限られています。一般提供の開始時期は公式に明言されていません。
TikTokやInstagramも同じように仕組みを公開する予定はありますか?
2026年8月時点で、Meta・TikTok・YouTubeが実装コードそのものを公開する計画は確認されていません。公開されている情報は論文や概要説明にとどまります。
出典・引用一覧
- [1] Cryptobriefing「X open-sources For You algorithm to enhance transparency and quality」 https://cryptobriefing.com/x-open-sources-for-you-algorithm/ (2026年8月14日、取得日2026年8月15日)
- [2] Cryptobriefing(同上)/2026年5月15日更新の内容について
- [3] explainx.ai「X (Twitter) algorithm goes open source」 https://explainx.ai/blog/x-algorithm-open-source-github-2026-2026 (2026年7月15日更新分、取得日2026年8月15日)
- [4] TechCrunch「X open sources its ranking algorithm, letting users see if they've been 'shadowbanned'」 https://techcrunch.com/2026/08/13/x-open-sources-its-ranking-algorithm-letting-users-see-if-theyve-been-shadowbanned/ (2026年8月13日、取得日2026年8月15日)
- [5] xai-org/x-algorithm 公式GitHubリポジトリ README https://github.com/xai-org/x-algorithm (2026年8月13日更新、取得日2026年8月15日)
- [6] explainx.ai「X Discloses Ranking Weights: A Report Costs 468 Likes」 https://explainx.ai/blog/x-algorithm-for-you-timeline-open-source-ranking-weights-august-2026 (2026年8月14日、取得日2026年8月15日)※タイトルにある倍率の解釈自体は本文[5]の注意喚起を優先し、本記事では断定的に扱っていません
- [7] keywordseverywhere.com「Social Media Algorithm Updates 2026」 https://keywordseverywhere.com/news/social-algorithm-updates/ (取得日2026年8月15日)
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著者・監修・更新ログ
著者:四辻俊昭(Rox株式会社 代表取締役)
最終更新日:2026年8月15日/次回更新予定:Xリポジトリの次回大型更新時(README記載の更新サイクルは目安で明言はなし)
| 更新日 | 更新者 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年8月15日 | 四辻俊昭(Rox株式会社 代表取締役) | 新規公開 |
よくある質問
この公開コードを読めば、自分の投稿がなぜ伸びないか分かりますか?
仕組みの全体像は分かりますが、完全な再現はできません。一部のプロンプトファイルやルールが非公開のままで、学習データや評価パイプラインも公開対象外です。仕組みを理解した上で、自分の投稿データと照らし合わせる使い方が現実的です。
「通報1件でいいね◯件分が相殺される」は本当ですか?
公式リポジトリ自身がこの解釈を誤りだと明記しています。重みは行動の「件数」ではなく「予測確率」に掛かるものです。具体的な倍率を主張する情報を見かけた場合は、一次情報を確認してください。
Under the Hood機能は誰でも使えますか?
2026年8月時点では試験提供段階で、開設から1年以上・直近1カ月に10件以上投稿しているアカウントに対象が限られています。一般提供の開始時期は公式に明言されていません。
TikTokやInstagramも同じように仕組みを公開する予定はありますか?
2026年8月時点で、Meta・TikTok・YouTubeが実装コードそのものを公開する計画は確認されていません。公開されている情報は論文や概要説明にとどまります。
Cryptobriefing「X open-sources For You algorithm to enhance transparency and quality」 https://cryptobriefing.com/x-open-sources-for-you-algorithm/ (2026年8月14日、取得日2026年8月15日) explainx.ai「X (Twitter) algorithm goes open source」 https://explainx.ai/blog/x-algorithm-open-source-github-2026-2026 (更新分、取得日2026年8月15日) TechCrunch「X open sources its ranking algorithm」 https://techcrunch.com/2026/08/13/x-open-sources-its-ranking-algorithm-letting-users-see-if-theyve-been-shadowbanned/ (2026年8月13日、取得日2026年8月15日) xai-org/x-algorithm 公式GitHubリポジトリREADME https://github.com/xai-org/x-algorithm (2026年8月13日更新、取得日2026年8月15日)[一次情報] explainx.ai「X Discloses Ranking Weights」 https://explainx.ai/blog/x-algorithm-for-you-timeline-open-source-ranking-weights-august-2026 (2026年8月14日、取得日2026年8月15日) keywordseverywhere.com「Social Media Algorithm Updates 2026」 https://keywordseverywhere.com/news/social-algorithm-updates/ (取得日2026年8月15日)
